リチウムグリスの特徴や用途は?モリブデングリスとの違いは?

 

ホームセンターの店頭では沢山のグリスが品揃えしています。どれを選んでよいのか悩みますよねぇ〜!

 

お客様にはリチウムグリスとモリブデングリス何が違うの?とよく聞かれます。

 

リチウムにしてもモリブデンにしても、あまり聞きなれない言葉とも思います。そこで、今回はグリスの中でもリチウムグリスとモリブデングリスの特徴や用途についての話です。

そもそもグリスはどういった目的で使われるか

 

グリスを使われる箇所を考えてみましょう。小さいところでは、釣竿のリールなどに使われています。

 

もう少し大きくなると自転車、あるいは自動車など、大きいものになると、船舶や航空機などにも使われます。

 

使用する用途としては、金属の部品と部品が擦れる部分が多いです。例えば機械などでは回転する部分の軸と軸受けのような箇所です。

 

ここは金属と金属が擦れ合う箇所ですが、油無しで擦れると、磨耗や発熱、更には破壊などにまで至ります。

 

ですから、この部分の潤滑をスムーズにしてやることが大切です。グリスはこの部分の潤滑が目的です。

 

グリスはどんな成分が含まれているか

 

グリスの成分は、簡単に言うと、3種類のものから出来ています。

 

1つは基油、2つ目は増ちょう剤、そして添加剤です。

 

基油は潤滑油です。この代表例としてはマシン油やシリコン油などが使われます。次に増ちょう剤です。これはリチウム石鹸やカルシウム石鹸などです。

 

これは糸状の有機化合物で、その糸状の分子構造を変えることなく油に混ざる性質があります。

 

増ちょう剤の目的は、潤滑剤を安定的に保持させることが出来ます。

 

グリスが個体、あるいは半個体に保持されているのはこのためです。

そして添加剤です。添加剤は基油と増ちょう剤に、様々な特性を与えます。 添加剤にはフェノール類、アミン類、モリブデン化合物などがあります。

 

グリスはどのように働くか

 

グリスはそのままでは半固形ですが、金属の隙間に充填され、その金属同士が擦れ合うと液化して金属表面の潤滑を助けます。

 

そして、金属同士の擦れる状態が無くなり停止すると、元の半固形状に戻ります。この性質は増ちょう剤の糸状の分子構造に秘密があります。

 

摩擦が少ない時は糸状の分子がランダムに絡み合い、基油を包み込んでいるのですが、一旦摩擦が始まると、増ちょう剤の糸状分子がランダムに並んでいる状態から、擦れる方向と同一方向に並び、含んでいた基油を手放し、手放された基油が金属の潤滑を助けます。

 

そして摩擦が収まると再び分子の配列がランダムに戻り、基油を再度保持し、半固形に戻るのです。この性質により、グリスは機械の外に流れ出しにくく、また蒸発しにくいのです。

 

リチウムグリスの特徴

 

リチウムグリスは、増ちょう剤にリチウム石鹸が配合されているグリスです。

 

増ちょう剤にはカルシウム石鹸やアルミ系のものがありますが、リチウム石鹸は物質の特性として、融点が190℃から200℃と高く、機械安定性に優れ、使用速度範囲としては、高速から低速までカバーするので、グリスとしては欠点の少ない万能型のグリスができます。

 

ホームセンターなどでの流通量が多いのは、この万能で使用が出来る性能の故です。

 

グリスは本来、用途と目的に合わせて細かく使い分けるべきでしょうが、不馴れな人が使う場合でも、リチウムグリスを使った場合に失敗が少ないからと言った理由からでしょう。

 

モリブデングリスとは

 

モリブデングリスは、グリスの添加剤にモリブデン化合物を使っているものです。

 

モリブデングリスの特徴としては、荷重のかかる部分に使えると言う点が挙げられます。モリブデン化合物は自然の鉱石として採掘されますが、鉱物がバラバラになると、針状になります。

 

これが荷重のかかる部分に入ると、軸や軸受け面の表面に入り込み、金属が削れるよりも先に、モリブデン自体が削れて金属表面の磨耗を防ぐ働きがあります。モリブデンの混合は、古くはアメリカのゴールドラッシュの頃まで遡ります。

 

ゴールドラッシュは金を求めて多くのアメリカ人が移動しましたが、その時の馬車に使われていた記録があるようです。

 

ホームセンターでグリスを選ぶ場合

 

グリス選択で悩むことも多いと思いますが、リチウムグリスは万能型、モリブデングリスは荷重のかかる部分ですので、自転車の程度ならば万能グリスのリチウムグリス、バイクなどの荷重のかかる部分にはモリブデングリスと、使用の用途を分けた方がよいでしょう。

 

ただし、それでも迷う場合があると思います。そのときはDIYのレベルでは無いかもしれません。整備工場を利用した方がよいでしょう。