木材にも使えるディスクグラインダー! ナイロンディスクで木目出しも!

 

金属の研削・研磨やコンクリートの切断、木材の粗削りに使用するイメージが強いディスクグラインダーですが、意外にも木材の表面仕上げにも使えることをご存知ですか?
本記事では、あまり木工品の加工に使われることが少ないディスクグラインダーを、“ナイロンディスク”というものを用いて有効に使う方法をご紹介したいと思います。

なぜナイロンディスクなのか?

そもそも、なぜ木材にディスクグラインダーがあまり使われないのか?

「回転速度が速いディスクグラインダーで、サンディングディスクなどを使って木材の表面を研削・研磨すると、ディスクが硬すぎてすぎて摩擦熱で焼けこげてしまうから」というのが、あまり使用されない理由です。
そのため、木工品を加工する場合のほとんどにおいて、ディスクグラインダーは木材を大きく研削する粗仕上げくらいにしか使われません。

電動ドリルのペーパーで十分じゃない?

木材の表面の仕上げは、ディスクグラインダーではなく、回転速度の遅い電動ドリルの先端にサンディングペーパーをつけて行うのが一般的だと思います。

しかし、この場合には持ち手からペーパー面までの距離が離れているので、ドリルが支えにくく作業しづらいという難点があります。
また、回転数が遅い分、広い面を研磨するには時間がかかります。
やりにくい作業を長い時間に渡って行うのは、とても楽なものとはいえません。

ディスクグラインダー用 “ナイロンディスク”

そこで、おすすめしたいものが“ナイロンディスク”です。

その名の通り、ナイロン製のグラインダー用ディスクです。
ナイロンは柔軟性があるのでソフトなタッチで材料を削りすぎる心配が少なく、曲面にもフィットするので、硬いディスクでは研磨しにくいところにも使用できるという優れものです。

Amazonや楽天でも「ヤナセ」や「イチグチ」などのメーカー品が購入できます。

今回はデモのため、あえて100円ショップで売られている製品を使用してみました。
これでも十分な仕上がりが期待できますが、光沢を出すレベルの仕上げを求める方にはメーカー品を強くおすすめします。

仕上がりの検証

木材表面の “浮造り”

わが家の屋内に張られた木製の“腰板”で検証してみます。
研磨する前の写真です。

築40年の家屋なので、腰板は日光や手脂、キズなどですっかり汚れてしまっています。
「味がある」といえば聞こえはよいのですが、個人的には「見ばえが悪い」と感じています。
木材の香りから察するに、材質はヒノキだと推測されます。
では、ナイロンディスクで研磨しみましょう。

いかがでしょうか?
「生き返った」と感じるのは私だけでしょうか?

この木材表面の研磨は、本来の木目を浮き上がらせることから“浮造り(うづくり)”や“木目出し”などと呼ばれます。
個人的にはなかなかの仕上がりで満足です。

広い範囲の腰板でもさほど時間をかけずに研磨できました。

木工品の材料のけば立ちやバリ取り、表面の整えにも

ホワイトウッドなどの材料は価格が手ごろでDIYでは重宝しますが、肌がきれいに整っていないことが多々あります。
下の写真をご覧ください。

写真の撮影が下手で分かりにくいのですが、手前の左側は表面がめくれ上がっていて、中央の奥は黒く汚れています。

ナイロンディスクで表面を整えみます。

めくれと汚れがなくなり、肌全体の光沢が少し増して、色が明るく見ばえがよくなったと思います。

さらに、表面を整えれば見ばえがよくなるだけではなく、塗装のときにペンキの“乗り”がよくなるというメリットもあります。

ナイロンディスクで木材を研削・研磨するときのコツと注意点

木材の繊維方向と回転方向を合わせて研磨する

ご存知の方も多いと思いますが、木材には“異方性”などと呼ばれる繊維の方向があります。
繊維の方向に対して直角に研磨すると、けば立ちやすく、表面をきれいに仕上げることができません。
繊維の方向とディスクの回転方向を合わせて研磨するのがコツです。

例をあげてみましょう。
水平の方向に木材の繊維が伸びているとします。
この場合、ハンドルを下にしてディスクを上に向けてグラインダーを持てば、ディスクの中心から見た真上が繊維と同じ方向に回転していることになります。
したがって、この部分を使えば繊維と同じ向きで研磨できるというわけです。

強く押しつけたり、大きく傾けたりして使わない

ナイロンディスクがいくら柔らかいとはいえ、さすがに強く押しつけると削りすぎたり、摩擦熱で黒く焼けこげたりします。
また、表面を研削するときに、面に対してディスクを大きく傾けてしまうと接触面が小さくなり加わる圧力が大きくなるので、同じように焼けこげてしまいます。

ハンドルをしっかりと持ちながらも、ディスクをソフトにあてるように心がけましょう。

まとめ

お伝えしてきたように、ナイロンディスクで木材の研削・研磨を行えば、電動ドリルのペーパーよりも少々デリケートな部分もありますが、それ以上に簡単でスピーディーに作業ができるというメリットがあります。
価格も手ごろで気軽に購入できると思いますので、木材で家具や工作を製作する方は、ぜひ1度お試しください。